【INTERVIEW】「正直者が損をしない業界へ」

2026.3.26

協会理事・澤畑勝章氏が語る
宿泊業界の課題と、信頼される運営のあり方

インバウンド需要の回復により、日本の宿泊業界は再び活気を取り戻しています。

一方で、自治体ごとの法制度への対応や地域との共生といった点で、運営の現場では新たな課題も浮かび上がっています。

今回は、日本情報トレーサビリティ協会(JITA)理事であり、宿泊事業分科会の代表、そして株式会社羅針盤 執行役員を務める澤畑勝章氏に、宿泊業界の現場と今後求められる運営のあり方についてお話を伺いました。

株式会社羅針盤 ホームページ民泊・無人ホテルの代行サービス「COMPASS STAY

 

インバウンド回復で高まる宿泊需要

────インバウンドの回復を受けて、現在の宿泊業界をどのように捉えていらっしゃいますか。

澤畑氏:

世界的に見ても、日本は非常に人気の高い観光地です。今後もインバウンド需要は拡大していくでしょうし、国の政策もこの流れを後押ししていくと考えています。

一方で、宿泊施設の運営という観点では、多種多様な文化背景を持つゲストを迎え入れる準備がこれまで以上に重要になってくると捉えております。

日本の文化や慣習を尊重していただくことはもちろんですが、ゲストの価値観にも寄り添った柔軟な対応が、これからは選ばれる施設オペレーションになるのではないでしょうか。

特に、ゴミ問題や騒音問題など地域社会との共生という観点からも、施設側がしっかりと対応していく必要があると感じています。

 

 

宿泊業界が直面する法制度と運営の課題

────現在、宿泊業界が直面している課題について、どのようにお考えでしょうか。

澤畑氏:

個人・法人を問わず、多くのプレイヤーが新規で参入していることは、業界としてとても喜ばしいことだと思っています。

一方で、宿泊に関わる法律は自治体によってさまざまで、しっかり確認していないと、知らないうちに法律違反になってしまうケースもあります。

特に注意が必要なのは、ゴミの問題です。

また、人手不足やコストコントロールの観点では、駆け付け要件も重要なポイントになります。

法的要件を満たすことだけを目的にしてしまうと、実際にトラブルが起きた際に大きな問題へ発展してしまうケースも耳にしています。

結果として、事業の継続が難しくなり、廃業に至ってしまうことがないよう、

目先の利益だけではなく、中長期的な視点で適切なシステム導入や運営体制を構築していくことが重要だと考えています。

 

 

規制強化の可能性とDXのあり方

────今後、宿泊事業はどのように変化していくとお考えでしょうか。

澤畑氏:

一定期間は、法規制が厳しくなることは避けられないのではないかと考えています。

特に駆け付け要件については、常駐義務や徒歩10分以内での駆け付けなど、かなり厳しい方針が各自治体から示されています。

現在は方針を示していない自治体であっても、今後規制を強化する可能性がありますので、動向には注視していく必要があると思います。

そのため、単にDX化をすればよい、無人運営にすればよいということではなく、今後の規制の動きを見据えながら、導入するサービスを慎重に見極めていく必要があると考えています。

 

 

信頼性・安全性の確保について

────宿泊施設の信頼性や安全性を高めるために、業界として取り組むべきことは何だとお考えでしょうか。

澤畑氏:

重要だと考えているのは、次の三点です。

 

ゴミ問題 / 騒音問題 / 本人確認

 

特に騒音問題については、実際に対応できる駆け付け体制があるかどうかが重要だと思っています。

これらを適法かつ適切に運用し、地域住民の方々はもちろん、ゲストにも安心していただける体制を構築していくことが重要だと考えています。

 

 

宿泊事業に関する委員会の役割

────今回設立された委員会には、どのような役割が求められるとお考えでしょうか。

澤畑氏:

先ほどお話ししたような、ゴミ問題や騒音問題、本人確認といった課題について、宿泊業に携わる方々へしっかりと周知していくことが重要だと考えています。

そうした取り組みを通じて、業界全体の運営品質を向上させ、宿泊業界そのものの価値向上に貢献していくことが、本委員会の役割だと捉えています。

 

 

業界関係者へのメッセージ

────宿泊業に携わる事業者や関係者へ、メッセージをお願いいたします。

澤畑氏:

正直者が損をするような業界に、未来はないと思います。

ルールを守り、適切な運営を行うことが当たり前になるよう、一緒にその考え方を業界全体に浸透させていけたら幸いです。

 

 

編集後記:JITAの視点

今回のインタビューを通して特に印象的だったのは、「正直者が損をするような業界に未来はない」という澤畑氏の言葉でした。

インバウンド需要の回復により、宿泊業界には大きな可能性が広がっています。

一方で、ゴミ問題や騒音問題、本人確認といった課題、そして自治体ごとに異なる法制度への対応など、現場では運営の質がこれまで以上に問われています。

法的要件を満たすだけではなく、地域社会と共生し、ゲストに安心して滞在してもらえる環境を整えること。その積み重ねこそが、業界全体の信頼につながっていくのだと強く感じました。

日本情報トレーサビリティ協会(JITA)では、こうした適切な運営の考え方を広く共有し、宿泊業界の運営品質向上と信頼性の確立に貢献していきたいと考えています。

澤畑氏が語った「正直な運営が正当に評価される業界」の実現に向け、業界全体でその考え方が広がっていくことを期待しています。

おすすめの記事

TOPへ戻る